《大人は自分勝手だと文句をいうだけでなく「今の大人ができなかったこと」を考えることが、私たちにとって大切だ》
今の大人ができなかったことって、何だろう。
社会学者の宮台真司さんの言葉がヒントになります。
「日本は、引き受けて考える社会でなく、任せて文句を言う社会」
(中略)
「お任せ」は、もう限界みたい。そこから脱するために、まず社会保障がどうやって成り立つのか、考えてみる。
(中略)
お任せをやめ、自分たちに引きつけて、よく考え、話し合うしか道はない。自分が「こうしたい」と思っても、相手のことを考えて譲ったり…。
人の話を聞いて、黙々と行動する人も欠かせない。
(中略)
みんなに「出番」がある。腕まくりして取り組み、話し合うなかから、「問題解決」が色々な場所で起こってくる。
朝日新聞朝刊. 2013.1.3. p.8.社説. 高校生の皆さんへ.
その浮いた足のままで生きていくとは、想像していなかった。おとなになれば、なにかになれると思っていた。神さま、たくさんいて、人気もなくて、なんにもならなかった霊長類のヒトは、どんな動物といっしょに住めばいいのでしょうか。
石田千. 平日. 文芸春秋. 2012.3. p.104. (文春文庫)
尊敬する哲学者、梅原猛に「猿之助(現・猿翁)が太陽なら君は月だね」と言われたという。「月は、満ち欠けて人の心を狂わすっていうじゃないですか。月と言われて、なるほど、いいなあと思いました」
夢は、すべてにおいて自分の考えが入った新作歌舞伎の創造とか。「でもそれには10億円ぐらいかかるかな」とニヤリと笑った。
産経新聞. 2013.1.1. p.49 興行ガイド. 市川猿之助 新時代の歌舞伎 創りたい.
【日本人にとっての神について】
古代日本の神道というのは後世のような理屈や装飾などはなく、神のしずまる場所(にわ)に入れば魂振り(たまふり)を感ずるというだけのすずやかなものであった。
産経新聞. 2013.1.1.p.5. 司馬作品で読む日本史. 黎明・古代編.
=全集48『街道をゆく 竹内街道』(文芸春秋)
他者に期待するな。他者を動かそうとするな。都合のいい他者を求めるな。他者を理想化するな。他者に憎悪をぶつけるな。他者はどこまでも他者であり、私はどこまでも私でしかないという限界を受け容れよ。他者に距離を取り、自分からも距離を取れ。最終的には自分すら他者の一部であることを知れ。我々は自分自身でさえ思い通りに操れない生き物なのだ。我々にとってもっとも未知なる他者は自分なのかも知れないのだ。
中村うさぎ. さすらいの女王. no.715. 週刊文春 1月3日・10日新年特大号 p.105
丸屋九兵衛のモンゴリアン・デスロック
LAST WORDS / 12月24日放送分のパンチラインを、貴女に。
「昔、バスタ・ライムズにサンタクロースのかっこうをしてもらおうと思ったら“いや、俺はキリスト教徒じゃないから”とキッパリ断わられた」「聖書のどこを見ても12月25日がキリストの誕生日とは書いてない」「スーパー戦隊の女性メンバーの変身後は、細身の男が演じていることもあるらしい。男が演じたほうが、クネクネしてシナの作り方が巧いとか」「17世紀初頭、発足当時の歌舞伎は女歌舞伎。でも、女歌舞伎の役者のみなさんは売春も兼業していて、風紀が乱れるという理由で…[全文を見る]
そういえばヴィヨンの妻ってクリスマスのシーンもあったんだなと青空文庫。「その日は、クリスマスの、前夜祭とかいうのに当っていたようで、そのせいか、お客が絶えること無く‥」。
そんでエンディングが迫力あるのだ。忘れてたけど。
「私は格別うれしくもなく、
「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」
と言いました。」
皆さんメリークリスマス!
崖っぷちまで行った者だけが飛べる
数年前、母からこの言葉を聞いた時はドキッとした。それまで専業主婦として平穏な人生を過ごしてきたとばかり思っていた母が、人生の黄昏を迎えてそんなことを考えていたとは。崖っぷちまで行く覚悟がなければ、そこにとどまるしかないのだと。いったい母にどんな体験があったのか。それとも平穏な人生などただの幻想にすぎないということか。
朝日新聞朝刊. 2012.12.21. p.8 高橋書店 第16回手帳大賞 黛まどか賞 森西志保子さん
【おこあえ】
菊 90年代がイヤなのは、全員マナーが良くなって、みんな友達になって、突出した人もいないし見苦しい人もいなくて、みんな鬱病になっていく時代じゃないですか。誰か生贄として無粋な役をやってと言っても誰も手を挙げないから自然発生に頼るしかない。で、最近デパートとか料理屋とかいろんなところに発生してきたと思うんですよ。それはいいことで、ああいう人がいるから粋な上客が遊ぶというマナーが光り輝くというコントラストが戻ってくると思うんですよね。隣を見たらすごく下劣で下品なヤツがいて、こっちは上手に遊んでいるヤツがいるというダイナミ…[全文を見る]
【おこあえ】
湯 …開高健のサントリーが培ってきた洋酒文化みたいなものは男から女にシフトしつつあると思う。男は昔から色事をこういったハードな酒の力を借りてやっていたじゃない?今はというと、男は色事を全部降りちゃっているから、オンナ食わずに、草原で草を食べているからね(笑)
菊 『スタジオ・ボイス』でこれだけは言っておきたいことがあって、草食系男子というのは、最近やたらマリファナで捕まっている大学生のことだと思いますよ(笑)
一同 (爆笑)
STUDIOVOICE vol.401 May. 菊地成孔×湯山玲子:時事放談. INFASパブリケーションズ 2009.5. p.19.
とても可愛い、いとしいと思っていても、それがあまりにも強いと自分でも怖くなって、これはもしかして憎しみなんじゃないかという気がしてくるの。こんなにもいとしいと思わせること自体が罪なんじゃないかと思えてくる。あまりに誰かを愛しすぎるととても苦しくなるから、その相手が、自分をひどい目に遭わせているんじゃないかって思うのね。すると、その人にも自分が愛しているのか憎んでいるのか分からなくなってしまう。人間にはそういう瞬間があるのよって。
yomyom vol.23. 青葉闇迷路/化身. 恩田陸. 2011.12.26. p.511-512.
記号学的実践叢書
芸術の作品I——内在性と超越性
ジェラール・ジュネット/和泉涼一訳
A5判上製/384頁/定価=5000円+税
《芸術作品はふたつの存在様態、すなわち内在性と超越性を身にまとう。〈内在性〉は、作品がそこに「存する」ところのオブジェのタイプによって定義され、それゆえ二つの体制に区別される。この二つの体制は〔……〕それぞれ〈自筆的〉および〈他筆的〉と命名される。自筆的体制においては、内在的オブジェ(絵画、彫刻、パフォーマンス)は物質的であり、それはおのずから顕現する。他筆的体制においては、そのオブジェ(文学テクスト、作曲、建築物…[全文を見る]
道楽本位に作られた文章や作品が好きだ。売れない純文学作家は好き勝手なことばかり書いているが大衆小説家である自分は読者に奉仕しているのだ、といった意味のことを熱っぽくツイートなさる作家がいる。それは慶賀の至りだがその力説自体は読者に奉仕しない、というかお嫌いな純文学、とくにむかしの私小説はだしの「こんな自分をわかってほしい」という絶叫そのものであることにお気づきか。
自己満足したくて書かれた小説のなかにはダメなものもあれば私が楽しめるものもある。他方、道楽じゃありません奉仕の心で書きましたという触れ込みの小説はもうその力瘤だけでお腹いっぱいで絶対に楽しめない。小説家はもっと道楽で書いてくれ。
yomyom vol.23 (特集:道楽のススメ BOOKGUIDE) 千野帽子. 道楽を書く。道楽で書く。 p.161
Advice (Langston Hughes)
Folks, I'm telling you,
Birthing is hard
And Dying is mean
So get yourself
Some loving in between.
お前もなという声が聴こえる。こんな深夜なら貼れる。照れかくしに聴こう!引用した「チェインギャング」!

人には、ふとそう感じたと言っていますが、「ふと」そうなるのは、毎日を暮らしているうち、己の内に、こまかな要素がいくつも、ドロドロに複雑に絡み合った過程を経ての結果なのです。そういう結果であることを己は知っています。知っているが、他人に説明するのが…というより自分で自分を分析するのが面倒なので、だから、ふと、とか、あるとき急にとか、便利な一語を使うに過ぎない。
姫野カオルコ. パパ、あたし、東京へ行く. yomyom vol.22 p.203
ある日ある時、自分が重大な秘密を抱えていると気付いたら、人はどうするべきなのだろう。しかも、それが個人的な秘密のみならず、もっと大きな、多くの人々に関わる秘密だった場合は?
そんなことを考えながら、私はぶらぶらと一人、賑わう人々の流れから逃れるようにして喧騒を離れた。
辺りが静かになるとホッとする。孤独だ、孤独は嫌だと自分を哀れんでみても、やはり独りでいるのが性に合っているのだ。
子供の頃は、「秘密」という言葉が大好きだった。本の題名に「ひみつ」という言葉が入っているだけで反射的に手を伸ばし、表紙を飽きもせず眺めては空想…[全文を見る]
生きることが死ぬことよりいっそう困難な場合は、あえて生きることが真の勇気である。(トマス・ブラウン)
これは、武士道が繰り返し教えていることとまったく同じ。
(新渡戸稲造『武士道』)
『丸屋九兵衛のモンゴリアン・デスロック』
LAST WORDS / 12月10日放送分のパンチラインを、貴女に。
「最近、アラビアで流行ってるヒゲ植毛は、ふさふさした髪の毛が生えている部分の皮膚を口まわりに移植する。……髪の毛を犠牲にして、いつか後悔しないか?」「政府は宇宙人との接触を認めろ!という請願に集まった署名が1万2000! そのくせ、国民の半数は進化論を信じない国、それがアメリカ」「現実世界では、UFOとは敵の飛行機のこと。昔のアメリカやったら、シベリアからアラスカ経由で飛んできたソ連の偵察機。今のアメリカやとシベリアからアラスカ経由で飛んできた…[全文を見る]
もちょっと引用
「真剣に本を読めば読むほど、こういう抽象的な表現に行きやすくなるタイプの人がいます。妄想に実感がない人です。さらに言ってしまえば、妄想に自信がない。妄想でも血肉と無縁のリアリティがない妄想だと、こういったことに陥りやすい。」
「なんらかの象徴を持ってくるのは表現における常套手段だけれど、映画にしちゃったことで矮小化されてます。アトランティスの話自体を、海に沈んだそれを他の手段でじっくり読者に伝えてたら、主人公の思いと重なるんでしょうけど、安易にディズニーの映画に乗っかった。これは大きな間違いです。
でもこういう書…[全文を見る]
講座だより...vol. 49(2012.12.11)
小説家(ライター)になろう講座
11月講師・花村萬月氏
「本気で小説に命を賭けるんだったら、ちょっと危ないところにも踏み出してみましょうよ」
「簡単に言えることをなんで複雑化するんですか、それはバカの特性ですよ。わかりますか、単純なことをもつれさせてしまうのは頭が悪い証拠。これをまず自覚してください。厳しいことを言いますけど、プロになるためにはこういう文章を書いてたら絶対ダメです。なぜこうなっちゃうかというと、言葉が肉体感を持っていないんですね。小説とは基本的に日常用いる言葉で書かれた散文です。…[全文を見る]