id:dominique1228
勝手に引用のことを語る

道楽本位に作られた文章や作品が好きだ。売れない純文学作家は好き勝手なことばかり書いているが大衆小説家である自分は読者に奉仕しているのだ、といった意味のことを熱っぽくツイートなさる作家がいる。それは慶賀の至りだがその力説自体は読者に奉仕しない、というかお嫌いな純文学、とくにむかしの私小説はだしの「こんな自分をわかってほしい」という絶叫そのものであることにお気づきか。
自己満足したくて書かれた小説のなかにはダメなものもあれば私が楽しめるものもある。他方、道楽じゃありません奉仕の心で書きましたという触れ込みの小説はもうその力瘤だけでお腹いっぱいで絶対に楽しめない。小説家はもっと道楽で書いてくれ。

yomyom vol.23 (特集:道楽のススメ BOOKGUIDE) 千野帽子. 道楽を書く。道楽で書く。 p.161