暗い嵐の夜だった…
「ほんとはこんなこと…しちゃいけないんだよね」
目の前でそう云われた。どぎまぎしながら、うん、そうかもしれないね、と頷く
「でも、ほら、夜は長いから…ね?」
袋を破る音がする。でも暗いのでよくわからない。暗いから赤面してるのも相手には伝わらないかもしれない。それが唯一のありがたいところ。
「なに、してるの?」
「ふふ、教えない。なんだと思う?」
戸惑っていると追い討ちをかけるように
「さっきちゃんと歯磨きしたよね?」
との確認のあと、口あけて?と小声で命令される。従わないわけにはいかない口調で。
そのあと、口の中にキットカットが放り込まれた。
ああ、お腹が鳴ったのを感づかれたのだ。
しかしどうして歯磨き後のキットカットはこんなに美味しいのだろう。
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暗い嵐の夜だった...。
「夜明けの来ない夜はないさ」。
あなたがポツリ言う。灯台の立つ岬で海を見ていた。
(中略)
夜明けが水平線から光の矢を放ち、世界を包んでいくの。
瑠璃色の地球。
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暗い嵐の夜だった…
ぼくときみは大きな雨粒が窓ガラスを叩く音を聞かないように、お互いの耳を塞ぎあってじっとしていた。
ベッドの、なるべく真ん中のほうで、かき集めた枕と毛布に囲まれて「早く眠ってしまえますように」とお祈りした。
お父さんのお兄さんのおうちみたいに、倒れた木の下敷きになってしまうなら、どうか、そんな恐ろしいことはぼくときみが眠っているあいだに終わりますように。
きみに話しかけようか迷ったけれど、ぼくがきみの耳を塞いでいるから、やめた。
きみにもっとぎゅっとして欲しかったけど、言わなかった。
雨の音と、びょうびょうと鳴る風の…[全文を見る]
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暗い嵐の夜だった。
彼は音もなく、入ってきたんだ。だからぜんぜん気がつかなかった。蒸してもいたから、パンツ一枚で寝てたのが悪かった。ひょっとしたら脱ぎ捨てた衣服がそこらへんに散らばってたから、彼はそれを丹念に嗅いでいたかもしれない。ともかく僕は彼に気がつくのが遅かったんだ。
ベッドサイドに近づいたのはなぜだか判らない。で、僕の足に小さな、ほんと小さな感触があった。ひょっとしたら彼はおそるおそるそこから触れたのかもしれない。そこで気がつけばよかったんだけど、判らなかったんだな、僕は。その反応をみた彼はその反応に満足したのかもしれない。足の付け根を経て僕の身体の上を這い上がってきたんだ。
そう、そのときそのときやっと気がついた。
彼はGだったんだ。
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暗い嵐の夜だった…。
窓の外では魔物たちが風に乗って荒れ狂っていた。
町からやってきた幼い姉妹は、風の音を聞きながら父と風呂に入っていた。
遠い七石山病院では二人の母が窓の外を眺めながら家族を思っていた。
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暗い嵐の夜だった
その日は朝から夜だった
ナスがママならキュウリはパパだ
西から昇った太陽が東へ沈むのだ
これでいいのだ
賛成の反対なのだ
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暗い嵐の夜だった…
暗いKAT-TUNの夜だった…
暗いSMAPの夜だった…
自分の世代的には 暗い少年隊の夜だった…
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暗い嵐の夜だった…。
ラッキー!!
これでベランダ掃除ができるし、観葉植物の丸洗いもできるわ!
翌朝、昨夜は早々と帰宅したにもかかわらず、
夫の筋肉という筋肉は重苦しい黒雲に蝕まれていた。
ああ神よ。
ギラギラ照りつける太陽と妻の笑顔が
せめて彼にとって拷問以外の何かでありますように。
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暗い嵐の夜だった…
父は「田圃の様子が気になるからちょっと見てくるわ」
と言って出ていった。
明日の田圃の様子は僕が見に行くことになりそうだ。
(日記はここで終わっている)
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暗い嵐の夜だった。
深い闇の向こうに何かが見えた気がした。不気味でおぞましく不吉そのものような何かが。
が、次の瞬間、志矢六蔵の身体は本能に従って動いていた。
「2GET」
/「暗い嵐の夜だった…」から始まる超短篇