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「暗い嵐の夜だった…」から始まる超短篇のことを語る

暗い嵐の夜だった。
彼は音もなく、入ってきたんだ。だからぜんぜん気がつかなかった。蒸してもいたから、パンツ一枚で寝てたのが悪かった。ひょっとしたら脱ぎ捨てた衣服がそこらへんに散らばってたから、彼はそれを丹念に嗅いでいたかもしれない。ともかく僕は彼に気がつくのが遅かったんだ。
ベッドサイドに近づいたのはなぜだか判らない。で、僕の足に小さな、ほんと小さな感触があった。ひょっとしたら彼はおそるおそるそこから触れたのかもしれない。そこで気がつけばよかったんだけど、判らなかったんだな、僕は。その反応をみた彼はその反応に満足したのかもしれない。足の付け根を経て僕の身体の上を這い上がってきたんだ。
そう、そのときそのときやっと気がついた。
彼はGだったんだ。