「全盲の」音楽家に感動する心の裏には、そんな人間に大したことはできない、という無意識の差別感がある。そしてギョーカイには、障害でもなんでも儲けのタネに利用する風潮がある。(長谷川)きよしがマスコミに背を向けたのには、それもあったに違いない。
一作曲家の代作がバレた。代作事件にしてはえらい騒ぎだ。大手マスコミが軒並み謝っている。これまで代作に気づかず、持て囃したことを反省すると。的を外すな。よく考えろ。ただ作品を持て囃したのではあるまい。
「全聾の」のレッテルで我々の差別感を助長し、営業に資したことをこそ、この際、深く反省し改めてほしいものだ。
中山千夏(東京新聞2014年2月8日夕刊「紙つぶて」)
天が宇宙飛行士だらけになり、主がその座を追われた今、神はいったいどこにいるのだろう? わたしは神をなつかしむ。
ジャネット・ウィンターソン「オレンジだけが果物じゃない」
私の知っているかぎり、それぞれの分野で成功している人は、すべてにおいて魅力的な人であることが多いものです。
そして、魅力的な人は、いつもまわりの人たちをどう愛してあげて、どういい気分にしてあげようかと考えている人といってもいいでしょう。つまり、自分の外の状況をよく観察しているわけです。
いつも愛されてきたというのは、けっして悪いことではありませんが、下手をするとわがままな人になってしまいます。それは、いつも自分のことばかり見ている人です。
人は、自分が愛されたようにしか人を愛することができません。ゆとり世代の人は人からの愛を十二分…[全文を見る]
青い舟で海に漕ぎ出して、流木を拾うみたいにして物語を集めた。
ジャネット・ウィンターソン「灯台守の話」
わが不毛の岩、月のことをそんなふうに呼んで、自分はあそこでなら幸せになれるかもしれない、あの太陽の蒼ざめた寄宿人でならーーそう言っていた
ジャネット・ウィンターソン「灯台守の話」
過去とは過ぎ去ったものだから、かつては変幻自在であったのに、今では変更自由なものでしかない。
ジャネット・ウィンターソン著、岸本佐知子訳「オレンジだけが果物じゃない」p154
「ボーマンは、興味をある一つのものに集中することのできない人間だった。(…)だが彼の決断は正しかった。専攻を選ばないというその事実が、彼を現在の任務につけるユニークな資格となったのだ。フランク・プールもほぼ同じで ― ときには自分のことを宇宙生物学のしろうと研究科と軽蔑的に呼ぶこともあるが ― ボーマンの助手には理想的な人選だった。この2人が一致協力し、さらに、必要な場合ハルの厖大な情報の宝庫が加われば、旅のあいだに持ちあがるどんな問題も必ず解決できるはずだった ― 少なくとも、常に心を油断なくとぎすませておき、過去に学んだ知識を絶えず記憶…[全文を見る]
日本国憲法には政教分離の原則がある。国は特定の宗教団体に肩入れしてはならない。だから、首相は公的立場で参拝してはならないのだ。なぜ「内閣総理大臣」の肩書入りの供花をするのか、理解に苦しむ。
首相として参拝することを重視しているようだが、そこには戦前の靖国神社に対する特別な思い入れがあるように思える。阿部首相の世代は軍国教育を受けていないのに、それが怖い。どのように進んでいきたいのか、想像がつく。
>たとえ、被害者が被害を告発しないために、加害者が罰せられず、摘発ができなくても、
>被害者はなにひとつ悪くない。次の被害者が生まれたとしても、被害者のせいではない。
>暴力をふるう側が悪いのだ。暴力を許すような性差別が蔓延した社会が悪いのだ。
>(中略)
>警察の介入には限界がある。まるで被害者が努力して警察に協力することが、
>性犯罪対策であるような記事は二次加害にも類する。
>性暴力被害者に必要なのは支援であって、勇気や努力ではない。
from はてなダイアリー:『キリンが逆立ちしたピアス - 正義漢ヅラをして、被害者を追い詰める人たち』
「エーラーヴァナと名づける象王は、あなたが勝利者(ブッダ)であると聞いたので、あなたのもとに来ました。かれもまたあなたと相談して、(あなたの話を)聞いて、『いいなあ』といって、喜んで去りました。」
(ブッダのことば スッタニパータ(中村元訳))
唐突に現れる、『いいなあ』がかわいい。
仕事疲れを紛らわすため、カフェでiPhoneで好きなロックを選び、たばこに火をつけた。高校時代、制服を着たまま海に飛び込む勇気があったら少し違った人生を送ったのではないかと、ふと考えた。体を動かした弾みでイヤホンが外れた。店内のBGMは、リストの「愛の夢」だった。
(大島尚悟)
狂は気がくるうことではない。好むところに溺れること、憑きものがおちないことをいう。例えば風雅に徹する人のことを風狂の徒という。それは〈世間の埒外に逸出しようとする志をもつもの〉であり、狂とは〈最大の讃辞〉だったという。
痴の字が痴漢という忌まわしい語にもっぱら使われていることを白川さんは嘆く。本来はうつつをぬかすという意味だそうだ。ただ、狂ほどは激しくない。控えめな狂。昔の文人墨客には書痴などと称し、みずからを誇るものがあった。
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
吉野弘「祝婚歌」
帰りの地下鉄の中、不意に触れる他人の肌が気になり、聞こえてくる笑い声も耳障りだった。潰れないよう気を配っていた耳元のニキビが、ぷつっと音を立てて弾けた。電車を降り友人に電話をすると「沖縄旅行に来ている」と言う。沖縄の空を想像してみたが、真っ暗な夜空のままだった。
(大島尚悟)
【今見てるテレビから】
悪人が勝利するのに必要なのは
善人が何もしないこと
ラフマニノフの交響曲第2番は叙情的な作品で、旋律が美しい。この曲を聞くと、日常風景が彩り豊かに見えてくる。バラ色の風景の中で、誰かと愛し合うような幸福感に満たされる。深夜、若者で騒がしいファミレスでドリンクを注文し、耳にイヤフォンをあてる。
(大島尚悟)
スプーン・インタビュー 大江健三郎さん|コマツ・コーポレーション 小松写真印刷|山形 印刷 出版
http://www.komatsu-corp.co.jp/csr3.html
「土門さんは私の顔を見るなり、極めて憂鬱そうな表情を浮かべられましたが、何とか気を取り直されて、「きみの書斎を見たい」と言われました。書斎と言っても、本と机だけの部屋です。ところが、その本棚に、小説家の中野重治とフランス文学者の渡辺一夫の本がほとんど全部並んでいるのを見て、土門さんはみるみる機嫌を直されたわけです。土門さんは、中野重治という作家が本当に大好きなんです。「渡辺一夫の本を、きみはなぜ集…[全文を見る]
ジャズは差別社会に生まれて、嫌なこと全て忘れさせる力を持っていると思うんです。いいものは常識なんて超えてもいいんだよってメッセージこそジャズの起源かなと。だからジャズは進化し続ける。
(SOIL & 'PIMP' SESSIONS : 元晴)
誤解を恐れずにいうなら、わたしには、この国の政治が、パートナーに暴力をふるう、いわゆるDVの加害者に酷似しつつあるように思える。彼らは、パートナーを「力」で支配し、経済的な自立を邪魔し、それにもかかわらず自らを「愛する」よう命令するのである。(高橋源一郎)