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うさのことを語る
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意外にも
階段を登りつめた部屋には鍵などなかったのだ。
僕らは僕らの間を遮っていたすべてを、もどかしさをこらえながら毟り取ると
最後のちいさな灯りも落とした。
いつのまにか、満月は雲を置き去りにして新年の空に輝いている。

眼と指と唇を薄闇に奪われて、僕らは生まれたての仔のように寄り添い
人は人に象(かたど)られて初めて在ることを信じられるという真理を
舌で氷を溶かすようにゆっくりと思い出しては飲み込んでゆく。

太陽の465000分の1しかない月の光のもとでは
見えなかったものが見えるという。
たくさんたくさん、見たい。
同じで同じでないもの。
夜明けが降りてくるまえに。
うさのことを語る
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--- 月 (Ⅱ)---
それは鏡
光と影が
愛しさと憎しみが
捨てきれない望みと抱えきれない絶望が作り出す
凍てついたマーブル模様
でも 夕べきみと満月を分かちながら
僕はたしかに聴いたんだ
僕の身体を吹き抜ける風が
大理石(マーブル)を動かす音

Fly me to the moon
木星と火星の春はどんなだろうね
そこには音があるのだろうか
夕べの音と似ているだろうか
吐息と吐息の間を渡るあたたかなささめき
凍えた心臓に滲み込むやわらかなみずおと
きみという楽器と僕という楽器のハーモニー
In other words, please be true(どうか、誠実でいて)
In other words, I love You ・・・・(愛してる)
true or not true
本当かそうでないかなんて誰にもわからない
願うことしか、できないんだ
うさのことを語る
--- 月 (Ⅰ)---
「欲しい」と言うのは苦手だ。
長年欲望を直視することを避けて生きてきたせいなのか
僕はいつも崖の手前30センチまで僕のことがわからない。
それでも、見えるようになったこともある。
きみが決して誰も立ち入らさない静かで大きな悔恨の海。
初めてスクーターに乗ったとき、きみの背にその波音を聴いた。
以来スクーターの振動ときみの心音の隙間からこぼれる海鳴りに
僕の海を同調させるのは、僕にとってずっと幸せなことだった。
ブルームーンの夜、きみの背中に「欲しいと言うのは苦手だ」と呟いたのは、
距離が近づくにつれきみの扉が…[全文を見る]
うさのことを語る
暗がりのなか
星空へまっ直ぐに伸びる線を
くぐり抜けてゆく風が
オルゴールさながら
僕らを包み込んでいた
そして
その緑の節のひとつひとつに
違う時空が閉じ込められていると
信じた人々の夢物語を
君は僕にしたんだ
それから
…[全文を見る]
うさのことを語る
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/うさ














