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映画映画部のことを語る


原節子(1920年6月17日 - 2015年9月5日)

その訃報が伝えられたのは11月25日ですが、実際には9月5日、神奈川県内の病院にて、肺炎のため95歳で亡くなったとのことです。
1962年に最後の出演映画が公開。1963年、小津安二郎監督の通夜に出席したのを最後に、公の場に姿を現すことはなかったといわれています。

出演作を初めて見たのは、まだほんの2年ほど前のこと。小津安二郎監督作 「晩春」(1949年) でした。そして 「晩春」 は、私にとっては初めて見た小津監督作品でもあります。
それまで、いかに名監督であるかと聞き及んでいても、所詮はただ聞いただけの話。作品を実際に自分の目で見てみれば、それはもう、伝説的な評判をも超える名監督であることを、目の当たりにすることとなりました。そして、小津監督の凄さを思い知ったその 「晩春」 で、原節子の素晴らしさをも目の当たりにすることとなります。際立つ美しさと豊かな表情でもって表されたヒロインの心情が、まるで手に取るように伝わってくると思えたものでした。
小津監督の作品として、そして原節子の出演作として、最初にこの 「晩春」 を、それも映画館のスクリーンで見たことは、長い映画鑑賞歴の中でも、忘れ難い体験のひとつとなりました。