・ 夫亡きもしばし忘れる思ひして天の橋立またのぞきする
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母の短歌のことを語る
母の短歌のことを語る
・ ペルーに生れいまだ顔を見ぬ一才半の孫の水着の写真届きぬ
母の短歌のことを語る
・ 娘紀子をよろしく頼むと嫁の父の見せし涙を今も忘れず
母の短歌のことを語る
・ 新しき毛並み装ひカナリアのさへずり高く秋の深まる
母の短歌のことを語る
・ 紫蘇の枝を刻みて入れし健康枕夜半に寝返る床に匂ひぬ
母の短歌のことを語る
・ 久々にリズムにのりて踊る夕べ頬輝きて友等美し
母の短歌のことを語る
・ 一冬の松葉を拾ひ水替へし苔むす石鉢雲を映せり
母の短歌のことを語る
・ 吾娘の弾く「雪の降る町に」にあはせつつ声はりあげて我も歌ひぬ
母の短歌のことを語る
・ うす暗き一茶住みしとふ土蔵の中我等しばし息つめて立つ
母の短歌のことを語る
・ 百枚目のセーター今宵編みあげて編機をぬぐひ油をさしぬ
母の短歌のことを語る
・ 一本の細き毛糸に夢たくし今日も一日セーターを編む
母の短歌のことを語る
・ 清掃の終はりし川の底澄みて夏休みの児等声あげて遊ぶ
母の短歌のことを語る
・ 祈りこめ小さき石に般若心経の一字一字を書き入れてゆく
/母の短歌