・ 三日前テレビにて見し高野山に今日登り来ぬ願ひかなひて
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母の短歌のことを語る
母の短歌のことを語る
・ 初老の吾等体形の醜さを嘆きつつ多嘉示作の「裸婦像」の前に立つ
母の短歌のことを語る
・ なにごとも善意に解して生きゆかむ今日の日記にそれのみ記す
母の短歌のことを語る
・ 平凡な主婦にて終はるこの一生幸せとも不甲斐なきとも思ひぬ
母の短歌のことを語る
・ わが子らの誕生地それぞれに異なるを古きアルバム見つつ思へり
母の短歌のことを語る
・ 玉城先生の短歌講演をきき書道展を見心豊かに一日過ごしぬ
母の短歌のことを語る
・ 一枝の椿を彫りし亡き夫の手作りの俎板心こめ磨く
母の短歌のことを語る
・ 霧深く登頂あきらめし三原山の黒き溶岩二つ拾ひぬ
母の短歌のことを語る
・ 遠く来て宿りし大島の民宿に潮騒の音沁みて聞きをり
母の短歌のことを語る
・ 標高の高まるにつれ白樺の木肌白じら秋日に冴え来ぬ
母の短歌のことを語る
・ 住所氏名血液型も書きそへて防災頭巾今宵仕上げぬ
母の短歌のことを語る
・ ペルーより一時帰国の三才の孫のスペイン語に戸惑ひてをり
母の短歌のことを語る
・ 秋晴れの縁に座りて一時帰国の三才の幼を初めていだきぬ
母の短歌のことを語る
・ 推敲は作歌の最初で最後なりと先生のみ教へ心にしみぬ
母の短歌のことを語る
・ 医者の夫と子等に囲まれ幸せとふ笑顔の従姉妹に心安らぐ
母の短歌のことを語る
・ 帰国せし孤児の従姉妹と通訳を通し話すはいたくもどかし
母の短歌のことを語る
・ こほろぎ一つ走る厨に幾度も水替へて煮る栗の渋皮煮
母の短歌のことを語る
・ 心なき人の一言に傷つきゐる友を思ひて話題をそらす
母の短歌のことを語る
・ いつくしみ育てしカナリヤをのみし蛇巣にとぐろまき息づかひ荒し
母の短歌のことを語る
・ 在りし日のままなる夫の表札を動かし過ぐる夕風のあり
/母の短歌