壁には耳があったが、口はなかった。身振り手振りで伝えようにも手も足もなかった。
だから、壁は黙って聞いたのだ。
喜びを。愚痴を。怒りを。愛を。叫びを。
手を鳴らす音を。楽器の音色を。歌声を。
長い長い間、ずっとずっとずっと壁は耳を傾けてきたのだ。
でも本当は壁はずっと伝えたかったのだ。たった一つ伝えたかったのだ。
耳掃除をして欲しい、と。
お話しするにはログインしてください。
Tips:「話題」は“北海道/札幌/中央区”の様にスラッシュ(/)区切りで下位の話題を作り、重層化することができる。
壁に耳ありのことを語る
/壁に耳あり