id:tulutulu026
読了のことを語る

『夜の蝉』北村薫

久しぶりに再読。相変わらず上品な言葉づかいは読んでるこちらまでハイソな気分になれるざーますのよ。をほほ。

有井諸九の「朧夜の底を行くなり雁の声」にまつわるエピソードは、今思うと俳句やら短歌を好んで読むようになった最初のきっかけかも。面白かったんだもの、その解説が。
やっぱり「それがどうして面白いのか」を解説してくれる人がいるのといないのとでは食いつきが全然違うもんね。

――はるか天空の雁の声を《底を行く》といい、更にその上の夜の無限を示すというのは恐ろしいような感覚だ。そしてその夜は朧に霞む白い夜なのである。

ってな感じでねぇ。「何事も先達はあらまほしきことなり」ってやつですね。いやちょっと違うか。