id:ckagami
勝手に引用のことを語る

パリの楽師たち [たびの空]

パリに到着した直後、せっかくだからちょっと地下鉄で出かけるか、とシャトレ座の横辺りから地下に入り、延々と黄色ラインの方に向かったわけです。そしたら、さして広くもない地下通路の交差点のひとつに、コントラバス出し始めてるにーちゃんがいる。なんじゃいと思って眺めていると、どんどん弦楽器がやってきて、あっという間に10数名の弦楽合奏になっちゃった。おおおお、こいつら、まさかここで始めるのかぁ、と呆れてしばらく眺めていたが、楽器出して弄り始めたもののノンビリおしゃべりなどしていて、弾き出す感じはない。ああそうですか、とホームに向かった。

延々と歩き、ホームに到着し、やってきた地下鉄に乗り込んだら、動きません。どーやら黄色線のどっかで事故で、しばらく動かないから、急ぐ奴は乗り換えろ、といってるよーだ。

ま、こちとらなんの用事があるでもない。へえそうかい、じゃあ、ってことで、同じ迷路を音のする方に戻り(なんせ細い地下チューブなので、弦楽合奏規模を鳴らし立てれば、遠くでやっててもかなり良く聞こえる)、さっき集まり始めてたパリ地下鉄弦楽合奏団を見物に戻ったわけですよ。

演奏してるのは、頭が東欧系のオバチャンで、後ろにはアジア系のおねーさんがたくさん(知ってる顔でもあったらどーしよーとドキドキでした)。弾いてるのはまあ、こういうところなんだからやたらとテンポを煽ってリズムをがんがんに強調したモーツァルトのアイネクとか、定番のハンガリー舞曲第5番とか。コントラバスは一応、2本います。で、なぜか、ヴィオラが1本しかいないのが妙。チェンバロの類はありません。

まねーじゃーねーちゃんがおもむろにチェロ君と入れ替わり、そっからは自分が弾き始めましたとさ。おお、チェロちゃんが売り子さん担当だったのね。

で、新たに売り子さん役になったチェロ君に、尋ねました。「2ユーロあげるからひとつ質問に応えてくれたまえ。なんで君たちの合奏団はヴィオラがひとりなのだね?」
そしたらチェロ君、応えて曰く、「おお、田舎者の君は知らないのだろーが、パリにはヴィオラが少ないのさ!

http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2012-04-18