id:ckagami
読了のことを語る


宗教(というかキリスト教の神)と戦争、というこの人の書きたいものが詰まっているので、作者ものりのりなのがわかって愉しいが、進行がぎりぎりだったのか誤字脱字が激しい…

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を事前に読んで置いてよかったなあ。須賀さんは同性愛者差別に関しては現代的視点をあまり持てていないというか、当時の差別思想から脱していないなあ。つまり差別的なわけだが(差別を描いて反差別を標榜する、というところまではできていない気が)。
物語が1936年から始まっていることで、戦争にいたるまでの社会背景がわかる。描き方が複合的なので、ナチズムや共産主義やキリスト教主義が、さまざまな顔をもった存在であることがわかった。
 
ヨーロッパの話を読んで、日本人がどこまで当事者意識をもてるか、という問題もあると思う。外国文学や歴史書やノンフィクションを読むのと、この小説(似た感じとしては皆川さんの『総統の子ら』とかか)を読むのと、なんか微妙に違うんだよなあ。