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せきららこのことを語る

あたしの津軽海峡冬景色(スタンダード)
都会でのOL生活に疲れたさゆり(仮名)は、「海…海が見たいの」と北を目指した。
幼い頃一度訪ねただけの記憶を頼りに、北の最果てを目指したさゆり(仮名)。かつて故郷と呼んだ(*1)場所はすでになく、それでも「帰りたい…」と、彼女は東京を後にした。(両親は健在。埼玉在住*2)
短大卒業後、事務職一筋18年。そのキャリアは立派なものだが、それを元に生きていくには社会は心もとなく、さゆり(仮)は行き詰まりを感じていた。10年付き合った恋人(上司)には妻子があり、結婚も望めない。思えば10年、私は何をやってきたのだろう。この先も10年、自分のものにはならない男と共に生きていくつもりなのか…それに気づいた瞬間、さゆり(仮)は会社に、有給休暇申請を叩きつけていた。

夜行にのって上野から青森へ。静寂。雪がすべての音をかき消し、汽笛すら聞こえない。(鳴ってない)
乗り合わせた人は皆固く口を閉ざしている。まるで、語りたくないことがたくさんあるかのように…(*3)

そんな中、共に時を重ねた老夫婦のはしゃぐ声だけが響いていた。
さよなら、あなた…私たち、とうとうあんな風にはなれなかったわね…。

私は今、北の海を見に来ています。向こうに見えるのが竜飛岬だそうです…。

今だったら、写メ付きでアンニュイメール打ってる。

*1母方の生家(出身地)が札幌。
*2つまり、さゆり(仮)の実家は埼玉。
*さゆり(仮)の主観です。