和枝の顔が、最後まで、反省も後悔もなくて、あご上げて見栄はって、それがまさに、あれだけのいけずをする、根性悪の象徴みたいで、いや、ちょっと凄かったな。あの緑子さん。人間なんて、みんな正しくないから、いけずしてひん曲がってどうしようもない事、いっぱいあるから、なんで自分ばっか、と腹立たしい事、いっぱいあるから、もちろんそのどれも、他人に同じことしていいってことにはならないんだけど、だからこそ、哀しくて哀しくて。
「見返したらんかい」と正蔵が言ったときも結構苦しくて、だって今までそうやってきたんじゃないか、そうやってきたから、こんなにいけずにひん曲がっちゃってるんじゃないの、って話で、当然、和枝は、そのように言うわけだし、希子ちゃんの悲痛の叫びは、希子ちゃんの寂しさと悲しさで、いくら弟妹を守ってきた、といっても、子供に、あんな風に言わせちゃいけない、よね。一方で、希子ちゃんは、あの、恨みつらみですり切れるほど匂い袋握りしめてたことを、もう、やめよう、優しくなでてあげよう、とそうやって生きて行こう、としていた、お姉ちゃんを知らない…んだよね。それが、辛くてねえ。
誰を味方するとか支持するとか、そういう話じゃなくて、どうしようもない、でも、どうしようもないなかでなんとか生きて立ち直らせようって言う、だけどたぶん、それは当人には届いてないって言う、なかなか苦しい回でした。和枝の不幸は和枝の問題、和枝のいけずは、いい悪いでいったらもちろん悪い。それでも、和枝の心は壊れて行ったわけで、その過程は、見ていて辛いものです。それを、因果応報とは思えません。希子ちゃんが、勇気振り絞って開けた心の風穴、いい風が通り抜けるといいね。それでいつか、違うものが増えればいいね。