ソムリエが幸福な職業かどうかは知らないが、僕は正直なところ、あまりなりたいと思ったことはない。なぜなら、1杯のワインを飲んで、そのワインが「ブルーベリーの風味をたたえ、その奥にかすかなレザーの香りがする」といったような分析をしなければいけないからだ。
素晴らしい女性と会って、ついキスしてしまいたくなったり、抱きしめてしまいたくなったりする気持ちを抑えて、「彼女の左目のしわが魅力的だ」とか、「その下にある、かすかなとび色のほくろは最高だ」とかいうのは、結構大変なことだと思う。
____岡村伸彦「勝手ワイン。」p. 15
勝手に引用のことを語る