あなたは、体外受精を3度試みても、うまくいきません。職場の事情や金銭面の障害があるけれども、2人目の子どもを産み、5歳の子の弟か妹を作ってやりたいと、悩んでいます。
有名な割にあまり知られていないアンデルセンの「コウノトリ」という童話があります。
(中略)
コウノトリが赤ちゃんを連れてくる話は、「子どもはどうして産まれるの?」と聞かれたときによく使われますが、同時にそこには、子どもが「偶然の授かり物」であることも含まれています。
あなたには、体外受精以外に手段がないため、弟や妹を作ってやれなくて申し訳ないという気持ちがどこかであるように思えます。そのせいで、子どもを生みたいという気持ちが一層強くなるのかもしれません。ただ、人間が決められることには限りがあるという意味で、子どもは授かり物なのです。
思い切りを付けるために、もう一度だけ体外受精を試みてはいかがでしょうか。うまくいけば、「出会うべき我が子がもう一人」いたことになりますし、もし、できなかったとしても、自分のせいだと思うのはやめましょう。
それは、たまたま「コウノトリ」が、あなたの家を見失ったということにすぎません。弟や妹ができなかった分、5歳の子を大事にしてやればいいのです。もっとも、賢明なあなたの心には、こうした「回答」が既にあり、誰かの口から聞きたかっただけなのかもしれませんが。
悩みのるつぼ「2人目の子が欲しくて」:回答者 金子勝