国内総生産(GDP)が中国に抜かれたといっても、世界3位である。一人当たりGDPでは、中国よりも8倍以上高い上、世界でも上位20位以内に入っている。人口が5千万人を超えるような国で一人当たりGDPが日本ほど高い国は数少ない。しかし、これだけ所得が高いのに、私たちは豊かさを実感しない。「それなら、もう少し所得が減っても豊かさを実感できるような暮らし方をすべきではないか」と考えるのは自然だ。実際、私たちが幸福を感じるのは、所得からだけではない。豊かな人間関係をもっていることや健康であるということも幸福であるための重要なポイントである。その意味では、少し所得が下がっても、人間関係や健康状態をよくすることで、私たちはより幸福に生きていける。
――「豊かなのに苦しい」わけは 大竹文雄