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勝手に引用のことを語る

認知症と診断された人が飲む薬には、いくつか種類がある。病気の進行を遅らせるのが「抗認知症薬」、不安や興奮を鎮める目的で出るのが「抗精神病薬」、そして「よく眠れない」という訴えがあれば睡眠薬や抗不安薬が処方される。
(中略)
 抗精神病薬は、不安や興奮が激しいときに使われる。たとえ認知症でも、生活に満足していたら強い不安は出ないし、興奮状態にもならない。環境とケアが良ければ本人は穏やかに暮らし、抗精神病薬の出番はぐっと減る。
(中略)
 英国での減少ぶりはもっと劇的だ。全国の医療機関を対象にした監査結果は、06年の17.1%から11年の6.8%へ激減している。「認知症への抗精神病薬の効果は限定的なのに副作用で1%程度が死ぬ」という報告書が出たことが大きく影響したという。
(中略)
 では日本はというと、そもそも薬がどれだけ使われているかのデータが無い。「どんな薬を使うかは医者の裁量」という意識が強く、実態調査ができないといわれる。
 亡父を介護したとき見知ったことから言えば、日本で抗精神病薬が使われ過ぎているのは間違いないと思う。まずは各国と同等の実態調査をして欲しい。そして、認知症の人に抗精神病薬を使わなくてすむ医療とケアを「各国に負けず日本も」と強く願う。

高橋真理子. 記者有論. 認知症への対応 抗精神病薬に頼るな. 朝日新聞朝刊. 2013.2.15. p.18.