id:dominique1228
勝手に引用のことを語る

 グレンジは書斎をでた。広間までくると、彼はカラーの内側に指を突っ込んでぐるりとまわし、大きく息をついた。
 すべてが蘇(あざみ)の冠毛のなかでもつれあっているような気がした。
 彼に必要なのは使い古して世にも汚くなったパイプと一パイントのビール、それにうまいステーキとポテトチップ。単純で、なにか形のあるものであった。

アガサ・クリスティ. ホロー荘の殺人. ハヤカワ文庫. p. 265-266.