id:dominique1228
勝手に引用のことを語る

5歳の野原に
少年をひとり
おきざりにしてきた

今も夢に見る
あれは

世界の果てまで
走って行くはずだった真昼

やけるような緑と
汗と言う名の夏が
身体にべったりはりついて

空には

付け黒子みたいな黒揚げ羽が
幾度も幾度も まばたきしていた

あの少年は私
今もあの青い日向で
世界の果てを見ている

吉野朔実『少年は荒野をめざす』