5歳の野原に
少年をひとり
おきざりにしてきた
今も夢に見る
あれは
世界の果てまで
走って行くはずだった真昼
やけるような緑と
汗と言う名の夏が
身体にべったりはりついて
空には
付け黒子みたいな黒揚げ羽が
幾度も幾度も まばたきしていた
あの少年は私
今もあの青い日向で
世界の果てを見ている
吉野朔実『少年は荒野をめざす』
5歳の野原に
少年をひとり
おきざりにしてきた
今も夢に見る
あれは
世界の果てまで
走って行くはずだった真昼
やけるような緑と
汗と言う名の夏が
身体にべったりはりついて
空には
付け黒子みたいな黒揚げ羽が
幾度も幾度も まばたきしていた
あの少年は私
今もあの青い日向で
世界の果てを見ている
吉野朔実『少年は荒野をめざす』