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読了のことを語る

「スクラップ・アンド・ビルド」羽田圭介
・タイトルが秀逸。たった一言の「スクラップ・アンド・ビルド」のスクラップとビルドがいかに取り違えられているか、最後の最後に「あぁ…」ってそれまでの力がすっと抜ける。文章もごく自然に変わって、読み終わってよかったなぁと思いました。
・読んでいる最中は主人公の行動と、介護を巡る社会状況の記述がちょっと説明くさいというか言い訳のようにくどく感じられるのだけど、ラストまで来て、それが社会の一部、断片だとわかる。
・主人公はずっと家族の一員で、元々しっかりと「息子」であるんだろうなぁというかんじが最初からしているのだけど、それでも後半、血縁のもろもろに思いを致すところとか、決定的に「子供」であり「孫」であると思わされる一文に、はっとする。