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読了のことを語る

「誠実な詐欺師」トーベ・ヤンソン
・北欧の冬、それも今年は特別雪が深い、僻地の村、その外れの森に佇む白い兎屋敷、ムーミンだったらファンタジーな舞台なのに、のっけから不穏で不穏で仕方がありません。何しろ、主人公の姿が世界に刺さったたった一つの棘のようなのです。
・犬はどうなったのかなぁ。
・登場人物3人が、とてもピュアで、でも、それは世の中に馴染めない、或いは成熟していないということなのかなぁ。脇役のリリィエベリやニィゴードの女主人を見ていると、そう思える。ひじょうに雑に言えば、自立の話なのかなぁ。自分の世界には他人はいなくて、他人がいなければ自立もなくて。
・ムーミンシリーズが「しあわせな子供時代」(解説による)だとすると、ご両親との死別後のこのお話は「思春期、一人立ち期」にあたるのではないかと思う。普通、アンナくらいの年齢の人が自分の人生を振り返るお話って、残された時間との無惨な対比になるのだけれど、ここではそうなっていない。アンナには未来があるように描いてあったし、3人の誰にとっても、そういうお話だったような気がするなぁ。
・カトリはどうなったのかなぁ。