「迷君に候」縄田一男選
・面白かった!「主命にござる」の「ぐはぁ…」とは、“迷”な分違って、その“迷”な部分に君の人間性が温かく息づいている感じがしました
・迷君が主役ではなくても、その存在が効いていて、意味合いは違っても「殿様だなぁ」っていうところは外さないのが、面白かったです
・この、殿様であり、人間であるっていうところがいいんだなぁ、きっと
・「ジャズ大名」で楽しくなって、「殺生関白」でうわまたこういうのか…と一度は本を閉じ、でも「主命にござる」の作品たちよりも頑なかんじがあって、生まれついての殿様の混じりっけなしの生なところがそういうふうに感じさせるのかなぁと思い、「晩春の夕暮れに」で御家としてはいろいろ大変だったろうけれど、「よかったじゃん!筒井!よかったじゃん!」と思うとともに、「何度目だ、おまさ…」って思ったりして、「桜田御用屋敷」では、ラストにぽかーんとして、しばーらく経ってから「あぁ…、残酷だ、けれど軽い」と、一瞬で浮き上がるお庭番と将軍の本質に愕然となって、「金玉百助の来歴」に「楽しそうに書いてるなー」って読み流した後、解説読んでびっくりして、最後の「忠直卿行状記」がとてもよかった!素直で光に満ちていた心に墨が流れるように闇が広がるところ、元々の心根の闊達、健康さ故に、その拍動の度にぐるぐる渦巻いては暗さを増す闇が動的で、むしろ力強くて。読後感のすっきりなことが不思議でならないのだけど、なんだか腑に落ちるというか、あぁ…って納得できるっていうか。とにかく、これがラストに来るんだから、本を選ぶってすごいことだなぁって思いました。アンソロジーって面白いんだね!!
本読了のことを語る