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読了のことを語る

バイロケーション 法条 遙

神出鬼没のドッペルゲンガーが現れる「バイロケーション」という現象に悩まされるヒロインを描いた話。
ホラーというより謎解き要素の多いSFサスペンスで、後半は切ないラブストーリー展開だった。
読みやすくて一気に読めた。kindleで198円は安かった。

とぼしい親の遺産をやりくりして暮らす忍は画家志望でもうすぐ30歳。
政略結婚目的の婚約者を持つ名家の長男、勝と秘密裡に入籍しており、実質専業主婦。
ある日買い物先で「さっき同じ番号を持つ一万円札を持って買い物に来た」と偽札作りの嫌疑をかけられる。
そこに呼ばれた警察官加納からバイロケーション現象について聞かされ、対策チームに参加することになるのであった。

「もしもあのとき違う選択をしていたら」というパラドックスを新しい視点で描いた話だった。
しかし飯塚が意外に考えなしだな。榮じゃなかったらもっと強く止めたと思う。
あんなこと言われたら誰だって逆上するよ。まして凹んでる芸術家に。馬鹿か。
加納に対して下した決断といい、この人自分にとって重要じゃない人の気持ちは考えないんだな。