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読了のことを語る

『無花果の実のなるころに』西條奈加

この人の作品は「善人長屋」とか「烏金」とか時代小説を中心に読んでいたので、現代ものは初めて。
元芸者の粋で鋭いお祖母ちゃん「お蔦さん」と二人暮らしをする中学生の望くん。ただし、代々男が料理をする家系で、ごはんの支度は望くんが一手に引き受ける。出てくる料理、出てくる料理が美味しそうで…。
いろいろ事件は起こるものの、本当の悪人が出てこない。お蔦さんと望くんの近所の人たちだけでなく、学校の友達やその家族、あるいは犯人という立場の人でさえどこか気持ちに善良なものを抱えている。
読後感のとても良い作品だった。