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読了のことを語る

灰と土

アティーク・ラヒーミー 著
関口涼子 訳

ソ連軍の進攻を背景に、村と家族を奪われた父の苦悩をとおして、破壊と混乱のなかに崩れゆくアフガン社会を浮き彫りにする、映像感覚あふれる現代小説。カーブル生まれの小説家・映像作家、ラヒーミーの第一作である本書は、アフガン社会の生の内面とイスラームの倫理を描き出して、大きな話題を呼んだ。20か国で翻訳。http://www.inscript.co.jp/b2/4-900997-08-0
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うーーーーーーーー
内容を言葉にするのが、するには、たぶん、これは……うーん
言葉を絵にすることに慣れているひと、絵を言葉にする作業をしたことのあるひとには、おすすめしたい
できれば、「男性」に読んでもらって感想をお聞きしたい むろん、日本人男性がこの小説で描かれている男性たちと同じ価値観を共有するとは思ってはいないのだがしかし、だがしかし、気になるので
そのへんのことはあるていど予期予測しながら読んだのだけど、たとえばジュネの描くパレスチナには女性忌避や女性嫌悪を感じることがなく(または少なく)、わたしはその「空間」自体に入り込みやすい ジュネの語りに、騙りに、からだが添う 耳を、呼吸を、意識をそこに集中しやすい
この物語が、二人称という特異な語りに二重写しで別の価値観がうつりこむことによる「違和」を描いているのだとすれば当たり前なのかもしれないが、わけのわからない居場所のなさを感じる 周縁・外部に「他者」として追いやられるというだけでなく、しかも伝達の物語の陥穽に完全に置き去りにされているという意識を持ちながら読んでしまったのは、読むときに「女性」であることを脇におけなかったわたしの咎なのかどうか(ごく当たり前に、いくらでも脇におけるし忘れることも可能なのだが、今回はそれをよしとしなかったのよね)、それとも、
それとも……
いま再読はしない
しないほうがいいようにおもう
跳ね除けられただけでなく、じぶんが文章の外側どころか、よくわけのわからないところにほっぽり出されることは少ないので(受け入れられずのけられることはある、または脇に追いやられることも、でも、こういう感じは珍しいから)、しばらくこういう感覚を身の内にとどめておきたい