※「はだしのゲン」閲覧制限要請の前教育長インタビュー(東京新聞8月24日)
―閲覧制限問題の発端を教えてください。
昨年四~五月、市内の男性が、作中の日本兵の残虐行為の描写を「事実ではない」として、学校図書館からの撤去を市教委に繰り返し求めてきた。やりとりを録画されインターネットで公開されだが担当課が「撤去は指示しない」と突っぱねた。
同八月、同じ男性が市議会に撤去を求める陳情を提出し、市議会が取り上げた。そこで市教委でも全十巻を入手し読んだ。
―作品にどの様な印象を持ちましたか。
原爆の悲惨さを伝える作品と評価するが、後半を初めて読み、性的暴行などの場面に驚いた。子どもへの配慮が必要だと思った。
―陳情は不採択でした。なぜ制限の要請に踏み込んだのですか。
議会が取り上げた以上、市教委として判断を示すべきだと考えた。
(中略)
―どうすべきだったと考えますか。
教育委員や学校現場の声を聞き、判断を現場に委ねるべきだった。議論の過程を明確にしなかったため、圧力に屈したわけではないが、結果的に歴史認識を問題にした陳情者の考えに賛同したと受け止められた面もある。
―市教委に二千件を超す意見が届き、大半が要請撤回を望む声です。
今は判断する立場にない。教育委員会議の判断を見守りたい。