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勝手に引用のことを語る

語りは作家にも読者にも方向性を与えてくれる。一部のセルビア人が自国の行動を正当化するために語った物語のように――あるいはわたしたちが自分の行動を正当化するために語る物語のように。ただし自意識の基盤としてよく過大評価されるライフストーリーは、あまりに窮屈な自画像のなかにわたしたちを閉じ込めてしまう可能性もある。心理セラピーの目標の一つは、人々に自分の人生の筋道を通させることではなく、むしろ筋道へのこだわりを減らすこと――語りの鎖のいくつかを断ち切って、もっと予想外の創造的な行動がとれるようにすることである。
(pp.281-282『書きたがる脳』)