『内なる私 グレアム・グリーン選集1』 瀬尾裕(訳) 早川書房 主人公は、自分の言動のひとつひとつを批評する「内なる私」に悩まされる。「それ」は何を基準にわたしを批評するのか。いつ、何を基盤にして彼の中に築かれたのか。 彼は追われる。何が彼を追いかけるのか。 死人を活け戻すのは誰なのか。現実の死だけでは、死人は死なず、生き続ける。 グリーン本人が認めるように若書きのメロドラマだけれど、それでも読んでよかったと思う。 鮮やかなラストだった。あいかわらず。