id:dadako
読了のことを語る

『おとなしいアメリカ人 グレアム・グリーン全集14』 田中西二郎(訳) 早川書房
以前、idページで勝手に引用した「無邪気な存在の危険性」、あれがこの小説の大きなテーマの一つだった。
それから、今目の前で起きている出来事(この小説ではインドシナ戦争)に対して、傍観者/観察者として存在することはけしてできない、すべての人間が当事者である、いずれ巻き込まれるということ。
わたしがインドシナ戦争について何も知らないので最初ちょっと混乱したが、時系列としては、この小説のできごとあと、アメリカはベトナム戦争の当事者になる。そしていまだに彼らは無邪気に見える。