『ぼくのともだち』エマニュエル・ボーヴ(著) 渋谷豊(訳) 白水社
タイトルと背表紙のイラストに惹かれて借りてみた。
みやぎくんが書いてた「ともだちを食わず嫌いする」って、こういう状態なんじゃないかと思った。「ともだち」がどういうものかわからないから、ちょっと顔見知りになった相手が自分の予測したあるいはこうあれかしと考えた「その人」とちょっとでも違うと、「この人とはともだちになれない」と決めてしまい、「ぼくがほしいのはそんなにたいしたものじゃないのに」と嘆く。
『地下生活者の手記』は、まだそこに決意があった。『葉蘭を窓辺に飾れ』は、恋人がいた。
この主人公には、他人が存在しない。軍ではどうやってたんだろう、とも思う。
最後、まったく共通点はないのに、『サイコ』のラストの、硬直状態を思い出したよ。
ユーモア小説なはずなのに、わたしにはちょっとリアルなホラーでした。
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