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読了のことを語る

『女の一生』モーパッサン(著) 永田千奈(訳) 光文社古典新訳文庫
訳題の解説だけは、最初に読んでおけばよかったと思った。映画のタイトルに時々使われる『生きる』とか、あるいは訳者が挙げている『(ある)いのち』だとわたしの読み方が変わっていたかも知れない。
わたしには、主人公ジャンヌよりも、リゾン叔母の生き方、一生の方が気になった。また、後半のジャンヌのようすのリアルさは、読んでいてつらかった。
本当に死んでしまうまで、命が尽きてしまうまで、何が起こるのかは誰にもわからない。夭逝したモーパッサンにも、この物語の後がどうなるのかはわからなかったんではないか、40代後半以降の人生を、想像できなかったんではないか、そんな気がした。