『お菓子と麦酒』サマセット・モーム(著) 厨川圭子(訳) 角川文庫
同郷で少年時代からつきあいのあった作家の伝記への協力を依頼された語り手(やはり作家)が、現在と過去を行きつ戻りつしながら、今は亡き老作家とその最初の妻との鮮やかな思い出と秘密を、そっと読者にだけ打ち明ける、そういう物語。
過去の鮮やかさと現在の嘘くささ、最初の妻と次の妻との対比(再婚した妻はまるで『春にして君を離れ』のヒロインのようだ)、作家の作家としての業や生き方、などが、ユーモラスに語りおろされてる。
わたしとしては、竹宮惠子でマンガでも読んでみたい。ウィリーやロウジー、ドリッフィールドのような人物やこの物語自体の雰囲気は、彼女の得意とするものの一つだろう。ところどころコマ割りまで見えるくらいに感じた。
とてもおもしろかった。買いたい本。
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