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読了のことを語る

『箱船の航海日誌』 ウォーカー(著) 安達まみ(訳) 光文社古典新訳文庫
イギリスではロングセラーの児童書だそうで、この本もかわいらしいイラストがふんだん。
擬人化された動物たちもノアの家族も皆それぞれが同等にある、平和でのんきなノアの箱船の中で、何が起きていたのか・起こったのか、どうしてその生活が失われたかを、ユーモラスだけど妙にリアルにとらまえた話。“スカブ”にゴクリをほうふつとさせられた。
この著者、本来は性科学を専門とする医者で、一般向けの性科学解説書を多数出版、後年はグルジエフに傾倒、児童書はこれ一冊だそうである。そういった変わった著者の経歴を元にこの本をどう読み込むか、というのを見せてくれた解説もとてもおもしろかった。ここがあるから文庫なのだね。