『言の葉の樹』 アーシュラ・K・ル・グィン(著) 小尾芙佐(訳) ハヤカワ文庫
「正史」を持たずにいる文化の記録と保存について。膨大な、些細なメモや文章や、物語や、あらゆる語りを平等に扱い保存することについて。
外部から未知の文化に、どのように接触することがよりよい道なのか。
『ミスター・ピップ』でも強く感じたのだけれど、葬式は、出席者が自分と故人との物語を語り他者と共有することによって、故人の物語を整理し新たな面を知り、死者を思い出の中の生者として、「記憶の世界の物語の人」として生まれ変わらせるためにおこなわれるものなのかもしれない。
