『酒楼にて/非攻』 魯迅(著) 藤井省三(訳) 光文社古典新訳文庫
前半四編が現代物、後半四編が故事新編。
立ち位置を定めることに迷いがある、というよりも、立ち位置を定めないようにしていた人という印象が残った。前半四編の女性たちの境遇や変遷と、それに対する主人公や周囲の人間の関心のなさをあからさまに書いている。改革期にとびぬけてもれだす格差。
後半。孔子のからかいっぷりと一方でのその上昇志向へのおそれぶりがあちこちにかいま見える。
もう一度『墨攻』を読みたくなった。墨子は、違う論理で動いている。これをふまえた上で、もう一度読みたい。
