『奄美の「借金解決」係長 日本全国の多重債務者の命を救う公務員』 禧久孝一 (光文社
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個人の生活苦からの借金事例が多め。著者は市民生活係長として20年で全国からの相談も含め6000件以上の相談に応じているが自殺者は一人も出していない。
奄美方式の特徴は、「法律専門家との密で対等な関係・連携」「多重債務者の積極的な掘り起こし運動」「役所内での連携を密にし、借金解決ではなく生活再建をゴールにおく」「滞納整理室の設定、債務の一元化」など。
平成15年当時、著者が日常業務として当たり前にしてきたことを発表した際に専門家から受けた反応が、ある意味、もっともわかりやすく具体的な「奄美方式」の説明か。以下、その反応の引用。
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「サラ金業者と直接、交渉したことがあるのですか?」
「弁護士や司法書士の事務所に同行までするのですか?」
「裁判所にもついて行って、調停に同席までするのですか?」
「多重債務の相談に来た人を、役所の他部門につないで、生活をサポートするところまでやっているのですか?」
「他部門から紹介されてやって来る相談者がいるのですか?」
「勤務時間外でも、ケータイで相談に応じているのですか?」
(p.138)
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