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穴の塞がったえむぞうのことを語る

『人と超人』
しかしあれだ。台詞は面白かったし演技も素晴らしかったけど、ずーっと男は結婚において女の被害者的な事をまくしたてられてるのは微妙な気持ちになったがな。最終的には完全にコケにされて主人公の哲学的な結婚論みたいなの「おしゃべり」扱いされるけどなw
1905年前後の話とすると、当時はそれなりの家柄の娘はまず結婚しないとって世の中だから、結婚するかしないか誰とするかで3時間半の激論(ノーカットだと5時間になるらしい)になるのも納得なんだけど、現代の衣装で、女性はとにかくどうしても結婚しないとっていう共通認識を前提として語られても「そうか?」となってしまう。
主人公の友人の妹関連が特に違和感が強くて、アメリカ人の大富豪の息子と秘密で結婚するけど、その原因が男の父親の反対で、その理由に「うちは爵位がないから」と言ったり、結婚に賛成させないと資金援助がされないという事で男が「自分が独立して働く」と言うと「お金があるのにわざわざ働くなんて!」って言ったりしててダウントン・アビーかよと思ってたら大体その時代(よりちょっと前)の戯曲だと言うので腑に落ちたのだった。まあそれはそれとして妹のキャラは結構好きだったw
主人公の相手役の女性のキャラもかなり良くて、最終的には彼女の大勝利で終了なんだけど、3時間半に渡って主人公が彼女及び想像される彼女との結婚生活について罵倒しまくったおかげか、ちょっと感想検索すると「今でもああいう女っているよねー、関わりたくないタイプ」みたいな感想を見て、でも20世紀初頭の英国の中産階級の家の女性が少しでも自分にとって良い人生を望むなら、彼女のような方法(人に従うふりをしながら自分の思う通りになるように立ち振る舞う)しかないんじゃないかと私は思ってて(その点強引に正面突破した友人の妹の方が格段にドラマティックな展開なんだけどこの戯曲ではサイドストーリー扱いなのも面白いと思った)、これが当時のドレスを着た状態で演じられていたら結構見る方の認識変わったんじゃないかと思わなくもなかった。ただより詳しい人のレビューによると、彼女のキャラクターは今回の演出の解釈によるもので、演出によってはまた全然違うキャラクターになるという話で、そこはちょっと目から鱗と言うかなんというかだった。
主人公はアナーキストらしいんだなー。それもあって、結婚という制度に乗っかる事が自分の魂を脅かすみたいに言ってるんだな。まあ気持ちは分かるwでもそれ以上に初恋の相手(=相手役)に子供の頃惚れた弱味で言いなりだっただけに、内心好きだけどそこに従っちゃうと「屈する」事に実質なっちゃうってのに怯えてんのかなー。
主人公の相手役の母親が娘の事を結構辛辣に語った後に、自分の娘嫌いなのかと問われて「そんなわけないでしょ、愛してるわよ。欠点を知ってるだけ」とかしゃあしゃあと言ってるのも面白かったw主人公の友人は娘に惚れ込んでるけど、彼の事は実の息子のように思っているから、自分の娘と結婚して惨めな思いはしてほしくない、でも主人公なら娘と対抗できるから安心、とかいう言い草がミもフタもなさすぎて笑ったw