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穴の塞がったえむぞうのことを語る

ベネディクトさんの学生時代からの友人というピアニストのジェームズ・ローズさんが、幼少期に性的虐待を受けてそのトラウマに苦しみ、そしてそこから脱却した経験を綴った本を出したけど、元妻からの「息子が精神的ショックを受ける」との訴えを受けて出版差し止めになって、出版を認めるよう求める裁判を起こして、勝訴したって事がちょうど1年くらい前にあった。
その裁判にベネディクトさんもサポートで駆けつけていて、勝訴が決まった時のコメントで”子供の頃虐待に苦しみ、それを言えずに沈黙して過ごした人が大人になって語る方法を得たのに、その権利をまた奪われた、助けを求める事すらできず、沈黙を強いられた事を追体験しなければならないなんて恐ろしい事です”といったようなコメントをしていたそう。
『スポットライト』観ながらその事を思い出していて、当時はそのコメントに単純に感心しつつ、虐待の体験を語る事が出来ない苦しみとかはほとんど想像できていなかった。『スポットライト』でも被害者は語りながら苦しんだり泣きだしたりしていたけど、当初は匿名にしてくれと言っていたのを、話した後に「実名を使っていい」と言ったり、ラストシーンを見て、自分の身に起きた事が理解されるという事の意味の大きさを知らされた気分だった。
そのピアニストの人に性的虐待をしたのはボクシングのコーチというのも、映画と通じるところがあって、映画の中の「自分たちは運が良かっただけだ」というくだりに背筋が寒くなった。本当にどこにでもある話なんだと。

まあ『スポットライト』の論点てそれだけがメインではないと思うけどね。
事件とそれを隠ぺいするシステムを追求するストーリーのメインの流れの中で、複数の問題が語られていて、見た後しばらく考え込んでしまう映画だった。