id:spectre_55 は
自分(id:spectre_55)のことを語る

【Life is Endless Conflict】

昔話をする。
 
ある非力な友人に、引っ越しの手伝いを頼まれたときのこと。
家具を運びやすいように分解したり、蔵書や家財を梱包しながら、
家主と四方山話をしているうち、ちょっとした口論になってしまった。
その具体的な内容は忘れてしまったのだが、俺以外の友人からも
「かなりの変わり者」と評されていた友人は、俺の意見に全く耳を貸そうとしない。
かと言って俺も、折れて相手のいい分を認める気にはなれなかった。
……ただし、その場で即座に正誤を決しなければならぬ問題という訳ではなかったので、
とりあえず俺としては、話の内容についてどうなのか、というのは置いといて、
重苦しく緊迫した感じになってしまった部屋の「空気」をどうにかしたく思ったのだ。
その為には、自分の頭を少し冷やしたい。作業の手を休めて、ちょっとの間家主の面前から離れて、感情を落ち着けたい。
……で、俺は、
「ごめん、その話はちょっとそこまでにしよう。
 ついでに休憩していい?ちょっとそこら辺を散歩してくるわ」
と言い捨てて、強張った表情で玄関に向かおうとしたのだけれど、
 
家主はその俺の背中に向かって、
「外行くの?じゃあ、私がいつも読んでる雑誌の発売日だからついでに買ってきてよ」
 
……と、さっきまでの口論がなかったかのような、お気楽な口調で言い放ったのである。
 
あまりにも度肝を抜くような、「斜め45度」な事態に出くわすと、
怒るよりも呆れるよりも先に爆笑したくなることもあるんだって事を、
俺は自らの身をもって思い知ったんである。
 
……その友人が、年々悪化する抑うつ症状を何とかしようと訪れた精神科医に、
「何らかの発達障害が抑うつの背景に存在するのでは」
と指摘され、別の医師の元でその指摘の正しさを証明される事になるのは、その何年か後のことである。