伊豆に住んでた頃、「美味しいと評判のおそば屋さん」と言うのが近くにあって、そこの名物は「鴨南蛮」だったのだけど、私が唯一食べられるのは「ざるそば」だけだった。あと、蕎麦サラダ。蕎麦自体は嫌いじゃないけど、かけそばは苦手だった。九州にいた頃、うちで蕎麦が出るのは大晦日だけで、食べてみてあまり得意じゃない事が解ったのである年からうどんにかえてもらってたくらいだった。
東京にでてきて、仕事するようになって、立ち食い蕎麦でおそばを食べたとき、初めて、このおつゆでおそばを食べると超おいしい!と言うのが解った。ヘレンケラーの奇跡、と同じ感覚ですよ。だから、結構私はそのときの事を覚えている。その日は、「温かい物が食べたい」と思っていて、そう言うときはいつもならかけうどんにするんだけど、何故かそのときは蕎麦にしたのであった。あれ?覚えている、と言った割にはあいまい……ま、いっか!要するにに美味しかったんですよ。
今思うと、食わず嫌いだったんだよねー。かけうどんを食べたときの「汁が濃くてからい」という印象と、子供の頃に食べた出汁ベースのかけそばが得意じゃない、という印象で。
そこからは、蕎麦を積極的に食べるようになって、基本的には冷たいおそばが好きだけど、温かい物も美味しい、と思うようになったし、あああの鴨南蛮、食べてみとけば良かった、と今となっては思うし、そっからはわさびも食べられるようになって、おおお、わさびとおそばの組み合わせは、鉄板じゃないの!と思ったりして、更にそっから、何故か、大晦日に「出汁ベースのおそば」を作るようになって、これはこれで美味しいじゃないの、というねじれ現象まで起こってる。
唐突に別の話になるけど、こないだテレビで昆虫食、というのをやってて、それを見ながら、ふと、「子供の頃に、当たり前にいなごや蜂の子を食べとけば良かった」と思った。私は、虫が苦手なので、今から食べろ、と言われたら申し訳ないけれど嫌悪感が先に立つ。でも、食べておけば、食べられるし、好きになるかもしれないじゃないか。そうしたら、若干、損したような、そう言う気持ちになって。
どちらにしろ、美味しいにしろ不味いにしろ、その経験は面白いし、生きてるうちに変わるかもしれないし、ねえ。(でももう、今からだとやっぱり抵抗あるよ。食べつけてないものを食べるって、エネルギーいるからねえ)
