特に、ソフィーの最後のキス無双を見ていると、ソフィーはずっと、躊躇なく愛を与えたい人だったのかなあ、と思う。しかし、自分を美しくないと考える人間にとって「躊躇なく愛を与える(表現する)」というのはハードルが高い。
ソフィーが自身の容姿に対して自信を持てない原因もわかりやすい。
あの派手でドラマチックな母と妹に囲まれて育ったこと。
おばあちゃんになったソフィーを見て、まず先に大粒の涙をながし、かわいそうだと泣く母。その瞬間、ソフィーの身に起こった事も、ソフィーの感情も、母の物になってしまう。大げさに泣いたり笑ったりする母は、ソフィーが「主人公」として自身の感情を発露するべき場面で、何度もその場を奪ってきたんじゃないだろうか。
そしてあの髪の色。最初は、髪の色だったんじゃないだろうか。あの世界、ブロンド最強、と言う価値観があるようだった。ハウルも、ブロンド以外の髪の色を「変な色に染まっちゃった!」って言ってた。
きっと子供の頃、あの母親が、悪気なく口にしたんだろう。
「残念ねえ。ソフィーも、ブロンドだったらよかったのに」とかなんとか。
全然、悪気なく。
妹も、女子力高そうだしねえ……。そのベティーは再三「自分で決めなきゃダメよ」とソフィーに言い続ける。最後まで見ると、あれは、「自分で愛さなきゃダメよ」「自分で決めて、自分からキスしなきゃダメよ」と同義だったんだなあ、と思うんだけど、あの段階では、それができりゃ苦労しねえんだよ、である。ソフィーにとって、「自分は美しくない」という自意識の呪いは、あの妹にもあるのだからして。(まあ、勝手にかかったんですけどー!)
