[今日見た映画]
「岳」
・小栗旬に、天真爛漫な主人公は無理だと思う。少なくとも、この時点では全然演じきれてない
・言わせたい台詞や見せたい場面に向かって、そこを飾り立てるための演出が過剰で、過剰な割にはそこに至るまでの筋道が圧倒的に足りない。
例えば
三歩:「山で捨てちゃ行けないものって何だと思う?」
久美:「ゴミと……」
三歩「命。」
久美;はっとしてる
とか。
ゴミ”と”ってーーーーー!質問に、この回答は複数ありますよ、と言う情報が全くない。つまり、
久美:ゴミと……
小栗:命。
久美:はっ
という絵を見せたいだけじゃーーん!
昔、成井豊だったかが、「高校演劇はどうしても、『この衣装がきたいから』とかそう言う理由で演出したり芝居してしまう。それはよくない」といってたんだけど、つまりこれ、そういうことじゃないですか……
もちろん、『山で捨てちゃ行けないものはゴミと命です」的な慣用句があるのかもしれない。でも、だとしたらさ、久美さんがはっとするのはおかしいでしょ。
あと、慣用句言ったくらいでどや顔って。大体三歩のキャラ的に、特別真新しいことを言ったわけじゃないし、久美さんは「命の問題」で前半結構葛藤してたくせに。命が捨てられなくて、荒れて泣いてた人が「そうだった……!!」と思ってはっとするとは思えないのよ。どういう解釈にしろ、そういう不自然な事が本当にたくさんあった。
終盤、冬山の天候悪化により、もの凄いブリザードに襲われ、救助隊総出で救助活動をする。その中でどうしても救助困難な場所に、結婚を控えた娘と父親がおり、久美が救助に向かう。救助できるチャンスは1回(ヘリを寄せられるのはその一回だけ)。なんとか娘はヘリに乗せたが、父親をピックアップするために久美がヘリのロープにぶら下がっておりていくところで、ヘリ操縦者がこれ以上の救助活動は無理と判断。久美を引き上げて、いったん戻るしかない、とするが、久美はロープを切って残るのだった……と言う場面があるんですが。
久美さんがロープを切ったのはわかる。
一人救助された娘の「お父さん」と言う叫びが、父親を山で亡くした彼女の立場にオーバーラップして、残りたい、助けたい、と思ったんだろう。
でもさ、なんで突然きるのかなー。
まず単純に考えて、あたりは猛吹雪な訳ですよ。ヘリのホバリングの音もある。
映画的な意味でも台詞が聞き取りにくいほどの音なわけ。
そんな状況で、ヘリのコクピットで打ち合わせた「救助困難・撤退」っていう作戦をどうしてそんなに早く理解するのよ。
いや、まあ、娘がね、尋常じゃない位「おとうさんっ!」って泣き叫んでた訳で、久美も悟ったのかもしれないけど。でもさあ。それにしたってさあ。
ただ切っちゃったら本当にこの人、ただの無謀な人だと思うんだけど、えーとずっとそういう書き方なの?
せめてさあ
「おろしてください!」「だめだ!」位のやり取りがあってもいいと思うのよ……
それでも、この映画の主軸の一本として、どうやら長澤まさみ演じる久美が山のプロとして成長していく、と言う軸がある訳で、もしもこれ、久美が
「アマチュアの父親一人残すより、プロの自分が一緒に残った方が、生存率が上がる。つまり、生きるためにプロとして残る」と言う選択として、ナイフを取り出したんだとしたら、それはそれでありかなって思ったんですよ。
でも違ってたーーーーーー!!全然、全然違ってたーーーーーー!!
私この時点で、結局今度は久美を助けるために山に入った三歩も雪崩にあって、序盤で「独りしか抱えられない」と言ってた久美が、三歩も含めて救助して、父親と三歩を担いで山を下りる、という話になるなら神かも、と思った。
まあ、そこまで行かなくても、久美もなんとかお父さんの命をつなぐんだけど、やっぱり危機的状況になって、でも三歩がなんだかんだで助けにきてくれて
「三歩さんがきてくれると信じてたから……!!」みたいな展開になるのかなーって。
でも、全然!全然違ってたよー。ふつーに三歩が雪崩に遭いながらも久美を見つけて凄い無茶してクレバス降りてってったら久美が死んでて蘇生させてた。
超突っ込みどころたくさんあった…
お父さんと二人、クレバスに降ちた久美さん。
クレバスの足場はそこそこ。
外は猛吹雪。お父さん凍死寸前。しかも足を岩に挟まれて動けない。
岩を砕く久美さん。くだけない久美さん。お父さん凍死しちゃうかも。
「足を切りますっ!足を切っても、バージンロードは歩けます!」
ええええええええええええ!
まずね、お父さん、足を切るのがいやだとか、どうとか言ってないよね。
バージンロードの話とか、してなかったよね……!
ずっと凍死寸前だったよね……!
ええと、しかも、なんでそんなに早急に足を切って外に出ようとするの?
多分、足は切らなきゃ行けないと思うけど、少なくとも、そこは吹雪もこないし、足場も狭い訳じゃない。
自分たちの体を落ちないように固定して、救助隊を待つのが、最も生き残る律高いんじゃないの……!!なんで?なんで吹雪おさまらず、しかも連鎖で大雪崩がおきてる真っ最中の外に、出て行こうとするの……!
別の方法でお父さんを暖める方法を考えるべきじゃないのか……!
ていうか、猛吹雪の外に凍死しそうなお父さんつれてくとか、それなんていう自殺行為・……!
その状態で足切ったら、クラッシュ症候群の可能性もでるじゃないか……!
と、私何ぞは思うのですが、実際の山では久美の行動が正しいのでしょうか。
久美、最後死んでたけど。
……ちなみに、久美は、最後の最後で、この件によってなんとなーく、山のプロとして成長したぜーって感じになるんだぜ……エー……。
