ふとしたきっかけで手にした『風に向かって咲く花』という本を読んだ。
これは主に幕末から明治•大正にかけて活躍した薬学者、福原有信について書かれた本である。
かなり分量はあるものの、本当に『坂の上の雲』の世界で、一気に読んでしまった。
ぼくは時代小説は読まないけれど、近現代のノンフィクションまたは伝記には目がない。
で、福原さんは幕末に漢方医の家に生まれて、東京に出て、幕府医学所で、西洋薬学を学んだ人だった。
幕末には蘭学の医学を学ぶ人は多かったんだけど、薬学を学ぶ人はいなくて、
彼はほんのわずかな期間のうちに、その分野のパイオニアとなる。
さらに明治政府が発足後、設立された海軍病院薬局長に若干23歳でなってしまう。
だが、彼は幕末の西洋医学導入期から「医薬分業」を考えおり、
医者に従ってしか処方のできない日本の薬学•薬剤師のあり方に疑問を持ち、
民間に下り、洋風調剤薬局を始める。
で自ら薬を開発しつつ、官営の製薬会社の経営にも携わっていくんだけど、
近代的な歯磨き粉や化粧水を考えたのも、この人だった。
で、物語はパール•バックの『大地』もしくはマルケスの『百年の孤独』のように、
福原有信とその息子たち、孫まで描かれているんだけど、
彼が銀座につくった薬局の名前は易経の一節から取られたという。
「至哉根元、万物資生」。
…なんと大地は素晴らしいんだろう。すべての生あるものはここに生まれるというような意味である。
そう、その薬局とは、現在では化粧品で有名な、資生堂である。(←これ一度言ってみたかった!!)
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