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はちのことを語る

読売新聞(ヨミドクター) 7月3日(木)15時37分配信
精神障害者の割引進まず…鉄道3割・バスも地域差
障害者手帳による交通運賃の割引を精神障害者にも適用している事業者は鉄道の場合、3割にとどまり、大手はどの社も適用していないことが読売新聞の全国調査でわかった。
路線バスは7割の社が適用している。身体・知的障害は全社が半額割引を基本にしており、精神障害者は取り残されている形だ。
各社のホームページの記載、自治体や業界団体の情報、個別の問い合わせなどで全社の制度を調べた。
鉄道158社(ケーブルカーを除く)の中で、精神障害者にも割引するのは46社。うち43社は中小私鉄や第3セクターだ。JR6社、大手私鉄16社は適用せず、「新たな福祉割引は国や自治体の負担でやってほしい」などとしている。
公営の地下鉄でも適用は仙台市だけ。東京都や政令市の多くは、住民に限り、福祉予算で精神障害者を含めて無料パスなどを出しているが、交通事業者としては身体・知的障害にしか割引していない。
一般路線バス(高速バス、空港バス、コミュニティーバスを除く)は、450社のうち328社が精神障害者にも割引を適用、8社が一部地域で適用している。ただし地域差が大きい。25都県は全社が適用だが、山梨、愛知、愛媛、大分はゼロ。岩手、栃木、神奈川、京都、大阪、兵庫、高知、福岡も遅れている。
国土交通省は「障害の種類で扱いが違うのはおかしく、精神障害者にも割引を適用するのが望ましい」とし、各社に理解と協力を要望している。バスでは2012年7月に標準的な運送約款を改正して精神障害者も割引対象に加えたこともあり、適用する社が拡大したが、鉄道は同様の制度がない。事業者への補助などは検討していないという。

◆栄セツコ・桃山学院大教授(社会福祉学)の話「国は3種類の障害の一元的な扱いを進めている。日本も批准した障害者権利条約は障害者が負担しやすい費用で移動できる措置を求めており、社会参加を促進する意味でも扱いの差をなくすべきだ。社会全体で解決方法を考える必要がある」

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鉄道・バスの障害者割引 「精神障害」置き去り
 「身体障害や知的障害なら半額になるのに、なぜ精神障害はならないの?」。障害者手帳による鉄道・バス運賃の割引には、障害の種類による扱いの差が残っている。JR・大手私鉄をはじめ、精神障害者には適用しない事業者がまだかなりある。精神障害の当事者や家族からは、切実な声が出ている。
大阪府河内長野市の社会福祉法人「つばさの会」と同市の精神障害者家族会は昨年秋から、南海バスに精神障害者の運賃割引を求める署名活動を展開している。
医療機関や日中の活動場所へ通うのに、バスを利用する精神障害者が多い。障害年金とわずかな工賃で暮らしている人が大半なので、交通費の負担は重い。
つばさの会の施設で部品の組み立てなどの作業をする女性(45)は「工賃は月8000円ほど。でも、ここへ通うバス代が往復で340円かかり、大半が消えてしまう。てんかんで、自転車も乗れないので、バス代を浮かすために歩いたりします」と話す。
 一緒に働くそううつ病の女性(45)は、バス2路線を乗り継ぎ、片道530円かけて通っている。「たまには大阪市内や観光地にも行きたい。電車が割引になったら、出かけるんやけど……」
身体・知的障害は、鉄道・バスのどの社も基本的に5割引き。しかし関西の鉄道で、精神障害者を割引対象にしている社はない。大阪市、神戸市、京都市は福祉予算で市内在住の障害者に地下鉄・バスの無料パスを発行するが、市外からの利用客への割引は身体・知的障害だけ。大阪・兵庫の大手私鉄系バスも精神障害者には割引していない。
なぜ精神障害だけ、割引適用が遅れているのか。
身体障害者手帳は1950年にでき、国鉄(当時)などの運賃割引が始まった。知的障害者の手帳は73年に設けられ、関係団体の運動で91年になってJRなどの運賃割引が適用された。
精神障害者の手帳は、それより遅れて95年にスタート。広島県では98年度から、県などの働きかけで、県内のバス全社と広島電鉄が精神障害者への割引適用を始めた。
だが、他の地域はなかなか進まなかった。当初は精神障害者の手帳に写真がなく、不正を防ぎにくいというのが理由の一つ。06年秋に写真貼り付けが始まってから、適用するバス事業者が増えてきた。
奈良県では当事者や家族会が運動し、奈良交通のバスが08年度から精神障害も割引対象にした。県精神障害者家族会連合会事務局長の奥田和男さん(72)は「統合失調症の息子は病院のデイケアに毎日、バスで通っている。外へ出かけて友人もでき、病状が良くなった。近鉄やJRの電車に割引があれば、もっと行動範囲が広がる」と言う。
都道府県の障害者福祉担当課など、行政の取り組みも大きい。岡山県では県の働きかけで08年度からバス全社が割引を始め、中国地方の路線バスはすべて適用になった。和歌山県内のバスも県の要望で12年秋から2社を除く9社が適用した。一方で、事業者ごとの割引状況を把握していない府県もある。
国土交通省は「精神障害者にも割引するのが望ましい」とする。JR、大手私鉄に適用しない理由を尋ねると「新たな福祉施策は国・自治体の負担でやってほしい」と、どこも似たような答えが返ってきた。大手私鉄系のバス会社も「経営が苦しい中で新たな割引は難しい」とする。
だが、もっと経営の苦しい地方の中小私鉄や中小のバスでも、精神障害者に適用している事業者は少なくない。
障害者手帳を持つ人の数は身体障害523万人、知的障害90万人に対し、精神障害は69万人(13年3月末)。それほど大きな規模ではない。
病院を出て地域で暮らす精神障害者が多くなり、就労する人も増えている。社会生活を支える「足」は重要だ。
政府が公共交通機関に助成するのも一つの考え方だが、割引をすれば、これまで乗らなかった人が乗り、利用が増える面もあるはずだ。
(編集委員 原昌平)

障害者手帳 身体障害者手帳、療育手帳(知的障害者)、精神障害者保健福祉手帳の3種類がある。税金の控除やNHK受信料、携帯電話料金などの割引を受けられ、障害者雇用の条件にもなる。年金や介護サービスの障害認定とは別。
(2014年5月26日 読売新聞)