四肢をばたつかせ慌てふためいた猫が正面から飛んできた。これはいったい何の兆しだろうか。今朝の天気予報では猫が降るなどと一言も言っていなかったし、占いでも猫に注意だとか言うことは言っていなかった。僕も歩けば猫に当たるとか言う諺も聞いた事がない。あるいは歴史的にみて、猫はその勘定に入れず当然予想されるべきあるものとして言及されない自明の現象なのかもしれない。
数秒後、その猫は僕の腕の中に飛び込んできた。安定感のない腕の上で足をふんじばり硬直する。しばらく僕は猫と見つめ合った。
徐々に高鳴る心拍数。心なしか胸に痛みもある。これが種を越えた恋かと勘違いする手前で、僕の胸にざっくりと付き刺さった爪を引き抜き、猫は顔を背け飛来した方角に目を向けた。
……オチなし。
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