そこで私はその JPEG ファイルを開いてみますと、下手なペイントツール文字でハッキリと「カミナギの行方を御存じですか」と書いて在るのです。
「……ハハア。知りませんがね。だまって出て行きましたから……」
と即答をしましたが、その刹那に……サテハこの和尚がカミナギの黒幕だな……と直感しました。しかし表面には平凡な非モテらしいトボケ方をしておりました。
相手の和尚はそうした私の様子を窺っているようでしたが、やがてまた一つのファイルを取り出して、恭しく私の前に転送しました。……「御覧下さい、」と発言しながら……。
ファイルの中味はありふれたプレーンテキストでしたが、擬いもないカミナギの文体でした。
夢野佳作『カミナギ地獄』のことを語る
