先日会った友達はきょうだいのことで悩みを抱えていて、話の途中で私が弟と出掛けたり映画に行ったりすると言ったら、仲が良くていいな~と感心したように言われたけど、元々歳が離れているから、大人になるまで遊んだり話したりが全然なかったんだよね。
私が高校に入るときに弟は小学校に入学。
成人式にもまだ小学生。
働き始めたのとようやく中学に入ったのとどっちが早かったか記憶がない。
それくらい接点がないきょうだい。
そもそも社会人と中学生じゃ生活時間帯も違うし興味も違うし、一緒に遊ぶことなんかないよね。
お互いに何に興味があるかもわからない。
仲が悪かったわけでは決してないのだけど、もともとあまりきょうだいって感じがしていなかった。
この十年くらいかな、私が長野に戻って、弟も仕事が中堅になって落ち着いて。
ふと気づけば、あらやだ興味のあるものが似てること。
では、一緒に映画見ましょうか、ついでにご飯も食べて帰ろう。
そんなこんなで、時々映画を見てご飯食べて、時にはお出掛けして。
やってることは大人だけど、本人たちは自転車で近くの駄菓子屋に行くくらいの感覚しかないのだよ。
今まできょうだい的なつきあい方が一切なかったからねえ。
だから、仲がいいねと言われると、共に独身という気恥ずかしさと仲良しを褒められてこそばゆい気持ちと、憮然たる気持ちとが混じりあう。
食事をするときなどに、店のひとに「奥様」などと言われると申し訳なさに身がすくむ。
ごめんよごめんよと心の中で弟に謝る。
いちいち訂正もできないしさ。
思い出してみても喧嘩したことは一度もなく、もう今さらこの先喧嘩することもないだろうと思う。
一回だけすごく腹を立てたのは、一泊で出掛けた遠い寺の近くに取ったホテルが平日だったせいかグレードアップされていて、内湯から露天風呂が続く部屋であった。
なんで弟とのときになんか・・・と思うのは自然ですわよね?
そしたら、お風呂大好きな弟が入ったきり出てきやしない。
私は窓のある方にも向けず、ひたすらつまわんないテレビを見て過ごしましたわよ。
夕飯の時間30分前に上がってきたので、文句を言う暇もなくお風呂に飛び込んだけど、髪を乾かす時間を考えたらカラスの行水になるのは当たり前。
よし、夕食後にゆっくり入ってやると思ったんだけど、飲み過ぎ食べ過ぎ歩き回りすぎて起きていられず、私は布団に倒れこんだのであった。
そして、あんないい部屋はそうそう泊まれないのに、素敵風呂を満喫できなかったことは一抹の怒りとしていつまでも残るのでした。
最初で最後の怒りになることを祈ります。
