えいやっと思い切って、例のポーターの財布を購入しようとしてたんですわ。
で、ふと思い出した。
10年前に弟にあげたヴィトンの財布、あれもずいぶんくたびれて来てるなあ。
あの年は母のガンがわかった年で、母の入院前から退院までは私が実家に滞在して、家族の世話をしてた。
その後の数か月は、週末金曜夜に実家に帰って、日曜の夕飯の片付けを済ませてから車で四時間の婚家に戻ってた。
平日は弟が家事を引き受けてくれて、当時90になろうとしていたおばあちゃんを助け、無理しがちな父も見張り、本当によくやってくれてた。

当時の私の財布は、15年使ったもので気に入っていたんで本人は気づかなったけど、ひとにはずいぶんに見えていたみたい。
母は「退院したら、ブランド物でもなんでも好きな財布買ってあげるわ」なんて言ってたけど、いつものことでその時の思い付きと気分で言ってるだけだから、当然記憶には残らない。
まあ、買ってもらう気もなかったけど。

そんで、いろんなことが落ち着いた暮れになって、ようやく財布を買おうと思い立ち、探し始めたんだけどなかなか気に入ったのが見つからない。
ヴィトンのメンズラインに、まあこれなら・・・・ってのがあって購入。
新年におろそうと思って、年末に実家に行ったときに持っていたんだけど、大晦日に弟と飲んでたら弟の財布も結構年期が入ってるなあって思って。
いやー、酔いって怖いですね。
ま、いっかーって気になって「これ使う？」ってそのまま渡してしまった。

あれから10年。
また今年も弟は頑張ってくれたしなー。
自分の買おうと思ってたポーターの黒の写真見せて、「これいる？」って聞いたら間髪入れず「貰う」と。（買ってなんてあげるって言っても、奴は受け取らない）

そっか、じゃあげようかね。誕生日も来るしね。姉はとりあえず自分の分は後回しで頑張っちゃうぞ。

しかし、弟よ、お前は知らない。
いずれその財布は私とペアだってことを。へへへ。